チン日本紀行 6日目
「きり無しの一夜」(霧島の一夜)

熊本で彼女と別れると鹿児島へ向かうことにした。
途中の新八代で新幹線に乗り換えたが、東海道新幹線と違ってビジネスマンは少ないようである。和風っぽい感じの車内は落ち着きがあって快適であった。

鹿児島に着くと、「城山」という展望台に上がってみた。海の向こうに桜島がはっきりと見える。街の景観と洋上にそびえる桜島との調和が美しく、阿蘇とはまた違った雄大な眺めであった。

ふと回りに目をやると、カメラを傍らに下げて懸命にペンを走らせている女性がいた。スポーティーな格好でスラリとした感じの女性であった。「唯の観光にしては熱心だな。何をしているんだろう」と不思議に思ってその女性を見ていた。

彼女は私に気付くとちょっと会釈をした。
私は「随分熱心ですね。取材ですか」と尋ねてみた。彼女は「ええ、私、ルポライターをしているの」と言った。出版会社はルポ等の記事は殆ど下請けに回しているらしく、彼女はその中の一人であった。
しばらく話していると、突然彼女は「今晩霧島温泉にご一緒に泊まって頂けないかしら。女が一人では旅館だと泊めてくれないの」と言った。
私はびっくりしたが、内心は鼻の下を伸ばして頷くと、彼女は「でも部屋は別々よ」と言った。

旅館は純和風の造りで、自然のなかに溶け込んでいて趣のある宿であった。浴衣に着替えゴロッと横になっていると、ノックする音が聞こえた。彼女であった。
「ちょっとお部屋を見せて頂けないかしら」「あら、いいお部屋ね、中庭がきれいなんですね」と言って辺りを見回していた。
私は「一緒に露天風呂に入ろうか。混浴らしいよ」とからかって言ってみた。意外に彼女は真面目な顔をして「うーん、入ってみようかな」と言った。どうやら取材のことで頭がいっぱいのようである。
木立に囲まれた露天風呂は、渓谷にいるような雰囲気であった。彼女は少し離れて恥ずかしそうに辺りを眺めていた。

夕食は量は少なかったが、上品で酒のつまみにはちょうど良かった。せっかく鹿児島に来たので、地元の芋焼酎を頼んだ。思っていたより口当たりも良く飲みやすかった。彼女も結構いけるようである。次第に彼女は饒舌になって行った。
やがていつの間にか私達はひとつになっていた。
結局その夜は明け方まで寝かせて貰えなかった。
つくづく女は強いなと思った夜であった。
【2007/05/20 22:59 】 | 紀行文 | コメント(0) | トラックバック(0)
<<チン日本紀行 7日目 | ホーム | チン日本紀行 5日目>>
コメント
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |

ホームページ アフィリエイト レンタルサーバー FC2ブログ 専門学校